ローラースケートで颯爽と走る会
小学生の頃、滑らかな動きで待ち合わせ場所に現れた友人の姿が忘れられない。まるでフィギュアスケーターを思わせるその風貌に憧れた僕は、すぐさま両親に強請ってみたが結局手に入れることはできなかった。
あれから十数年、かつて諦めた夢を叶えようではないか。
そう、ローラースケートだ。
購入、不穏
というわけで今回はローラースケートをする。さっそくAmazonでそれっぽいものを買ってみた。
届いたダンボールを開封して戦慄が走った。このちゃっちさ、たまらない。なぜか箱がボコボコだが問題ない、「ENJOY NOVELTY(目新しさを楽しんでね)」この文章を信じよう。
箱の中にはローラースケート本体と収納袋、調節用の六角レンチ。商品の粗悪さを少しでも誤魔化そうとする企業努力の賜物。これはうれしい。収納袋はもちろん、六角レンチが付属しているということは、仮に絶海の孤島でこの商品を購入したとしてもすぐに遊べるということだ。やったぁ。
新品を注文したのだが、まるで子供が3カ月くらい遊んだような傷がついていた。こんなディティールを施すとは…これがNoveltyか。どうやら僕は日本の精巧な商品に溺れ、思考力が鈍っていたらしい。技術者はやはりすごい。
試走
震えが止まらないがこれはきっと武者震いだろう。パッケージに書いてある「Let's go」の文字に背中を押され近所の公園に向かう。
今回買ったローラースケートは靴にワンタッチで取り付けられる代物だ。先ほどまで不安しかなかった鮎川も流石にテンションが上がる。ではさっそく走ってみよう。
笑ってはいけない。彼は大まじめだ。やってみて知ったのだが、めちゃくちゃ難しい。直立することすら困難なのだ。しかしまだ装着してから5分程度。生まれたての小鹿に対してライオンから走って逃げろというのは酷だ。
命を削るということ
その後も少し練習してみたのだが一向にうまく滑れない。撮影者のK君は「不良品っすよね、どうみても」と言っていたがそうではない。僕の技術不足だ。そういうことにしないとどうしようもないのだ。
なんやかんやで少しは直進できるようになった。しかしこれを”滑っている”と表現するのはいかがなものだろう。「上体を起こしてみては」とK君がアドバイスをくれたので従ってみる。
死にたくないッッッ!!!
脳漿をさらけ出すところだった。もし自分に子供ができたとして、この商品だけは決して与えないだろう。
なぜ人は二足歩行なのか
こんなにも危ないおもちゃだとは思わなかった。小学生の頃の友人はとんでもない命知らずだったのであろう。鮎川は完全に恐怖に押しつぶされてしまった。しかしここで諦めるわけにはいかない。目的は”滑ること”なのだ。直立することは含まれていない。
笑ったやつ、やってみろよ。同じ結果になるからさ。
もうこれでいい
確かに僕は運動神経が悪い。しかし今回に限っては僕だけの責任ではないだろう。皆で協力し合うことが世界平和につながるのであって、一個人に責任を負わしてはいけない。
かといってこのまま「無理でした」と言うのも厳しい。そこでローラースケートを付けたまま普通に走ってみる。
はい、滑れたー!
やはり鮎川は天才だった。どうだろうこの滑らかな動き。輝くローラースケート。軽やかなステップ。「こんなのローラースケートじゃない」と聞こえたが、思い出してみてほしい。
Enjoy Novelty
そういうことだ。
まとめ
今回はローラースケートをやってみた。いや、これほんと難しいね。何度も死にかけたし…。両親が買ってくれなかったのも納得。多分二度と使わないってレベルで歯が立たなかったんだけど、僕の技術力のせいだけではないと思う。1600円…高額な買い物だったな…。